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Photography by Daniel Paik

INTERVIEW: La Toile 前半

Designer, Hanna Yoo

Text&Edit: Eriko Azuma

ものづくりは、あらゆるものに宿る温度を繋いでいくこと。

SAYAKA DAVISは2013年にニットとジュエリーのスモールコレクションからスタートしました。SAYAKA DAVISのブランド設立10周年を記念して、1/28、1/29に東京で、2/11、2/12にNYで、デザイナーHanna Yooとのコラボレーション展示が開催されます。 ニューヨークを拠点にもの作りを続ける2人の出会いや関係性、企画展に至るまでの経緯や展示に込めたそれぞれの想いを、2人の対話を通して紐解く前編、Hanna Yooの独自のクリエーションにクローズアップする後編の、2回に分けてお届けします。

ソウル、パリ、ニューヨークでのファッション界での活躍を経て2021年に自身のプロジェクト「hannayoo works」をスタートした韓国出身のアーティストHanna Yoo。2人の出会いは7年前に遡る。

SAYAKA DAVIS(以下Sayaka):出会った頃、HannaはTibiのデザインディレクターとして活躍していて、私は当時、SAYAKA DAVISと並行して日本の糸をアメリカのアパレルに紹介する仕事をしており、Hannaとは仕事を通して知り合いました。

Hanna Yoo(以下Hanna):最初はSayakaが自身のブランドを持っていることを知らなかったのですが、オフィスにお邪魔した時、当時Sayakaが手がけていたジュエリーを見せていただいたんです。それがすごく素敵で印象的でした。そこから少し時間が空いたのですが、1年ほど前に私がTibiのコレクションのひとつとして、初めてジュエリーを発表した時、Sayakaの意見が聞きたくて、作品を見てもらったんです。

Sayaka:初めてHannaのジュエリーを拝見した時、自由で遊び心のある、オリジナルの世界観に感動しこの作品をたくさんの方に知ってほしいと思いました。自身のブランドとして立ち上げたらどう?、と伝えたところ、ちょうどHannaも独立を考えていたタイミングだったようです。それを機によく連絡を取り合うようになり、親しい友人になりました。

23年のSSシーズンでSAYAKA DAVIS はブランド設立から10周年を迎えた。記念すべきアニバーサリーイヤーのキャンペーン、ルックブック撮影では、スタイリングをHannaさんに依頼。真っ白なルックから始まり、次第にカラフルなコレクションが展開、ラストを飾ったのは、10年という節目の”ピリオド”としてのブラックドレス。10年間のストーリーを描くようなスタイリングは、Sayakaさんをクリエーションの原点に立ち戻らせてくれたと言う。

Sayaka:自分の中で10周年は大きな節目で、プレッシャーのようなものを感じていたんです。この10年でどんなことをしてきたのか、この先どう進むべきか、日頃からHannaに相談していたんですが、スタイリングを通して、私が点でやってきたことを、彼女が繋げてストーリーにしてくれました。自分では見つけられなかったことをHannaが見出してくれたような気がして、彼女との共同作業は、とても意義深いものでした。その時、Hannaが「10周年おめでとう、デザイナーとしてまた新たな始まりだね」と言う言葉をくれたんです。その頃はちょうど、Hannaも自身のブランドを立ち上げるタイミングで、お互いに新しい始まりだねという話をしました。

Photography by Daniel Paik

新たな始まりを迎えたクリエイターとして、共に表現の場を持ちたい。今回のコラボレーション企画展「La Toile」は、Sayaka Davisのそんな思いから始動した。「Toile(トワル)」とは、フランス語で白い布のこと。デザイナーの2人にとっては、“始まり”を表す言葉でもある。

Hanna:10周年はSAYAKA DAVISの新しいスタート。そしてSayakaが大切にしている『余白の美』にも通じるテーマとして、『ラ・トワール』という言葉が浮かびました。『ラ・トワール=白い布』は、デザイナーの初心と本質を象徴する言葉。『白い布』からどんなひらめきが生まれるか、どのようにドレープを描くかによって、私たちが作りたいもの、共有したいものの場所に導いてくれます。今回の展示がそのプロセスの感動を共有するきっかけにできたら、と考えました。

私にとって言葉はとても重要なもので、私の作品は、言葉によるコミュニケーションからインスピレーションを受けています。『ラ・トワール=白い布』は、デザイナーが最初に向き合う素材であり、アイロンをかけた時の少し焦げたような、独特な香りの記憶が呼び起こされる言葉。アイロンをかけ、カットし、ピンで留めることで形が変化する。デザイナーはそこに美を見出すのです。素材からインスピレーションを受けた私達の作品が、さらに展示をご覧いただく方のインスピレーションとなる過程を、共有できたら幸いです。

Sayaka:Hannaの言葉はいつも私にインスピレーションや考えるきっかけをくれます。制作中、Hannaから「何がSayakaをSayakaにしているの?」という問いかけをもらいました。何を感じ、考え、経験して生きてきたか、過去から現在までの歩みが今のあなたを作っているはず、と。

頭に浮かんだのは、お気に入りの人形をレースのハンカチでおめかしさせた記憶。布が人形の体に沿って形作られていくことが面白くて、布一枚で彼女が変容する姿に好奇心を覚えました。デザイナーになりたいという思いも、その時の感覚が原点になっていると思います。

今回の展示は、SAYAKA DAVISのブランド10周年記念、そしてHannayoo worksのローンチ記念であると共に、一人のデザイナーとしてのHanna Yoo、Sayaka Davisの歴史と想いが詰まっています。この展示を通して、見ていただく方の心に触れることができたら嬉しいです。

Photography by Daniel Paik