CRAFTSMANSHIP
林ちはるさん / BAGSINPROGRESS(後編)
Text&Edit: Eriko Azuma
ものづくりは、あらゆるものに宿る温度を繋いでいくこと。
時代を超えて育まれた美しいクラフトマンシップに焦点をあて、心動かされる「ものづくり」の背景を紐解きます。
前半編に引き続き、シンプルで機能的なバッグが、世代や性別を超えて多くのファンに支持されているNY発のバッグブランド『BAGSINPROGRESS』をフィーチャー。後編では、SAYAKA DAVISとのコラボレーションについて、デザイナー林 ちはるさんのインタビューをお届けします。
共通する想いが結実した、カクタスレザーのコラボバッグ
共にNYを拠点に活動するデザイナーとして以前から親交のあった林ちはるさんとSayaka Tokimoto-Davis。その関係性の中で、コラボレーションのアイディアは自然に生まれたという。
「Sayakaさんからコラボレーションの提案をいただいた時はうれしくて、その場で快諾しました。Sayakaさんのセンスも作るお洋服も大好きですし、Sayakaさんも以前から『BAGSINPROGRESS』を愛用してくださっていて、もの作りの面では互いにリスペクトしあっている関係だと思っています」
誕生したバッグは、使う人のライフスタイルに合わせてアレンジが楽しめる2型。洗練されたシンプルなデザインと機能性には、デザイナー2人に共通する感性と想いが込められている。素材には、有機栽培サボテン由来のソフトで上質なカクタスレザーを選択。水分や湿度に強く、通気性や耐久性にも優れており、使い手にも環境にもやさしい、新しいヴィーガンレザーだ。
「素材に関しては何度も話し合いや検証を重ねた結果、カクタスレザーに落ち着きました。環境への負荷を軽減するため、どのように素材をシフトしていくべきか、以前から課題ではあったのですが、小さいブランドでは使える素材に制限があり難しさを感じていました。Sayakaさんはヴィーガンレザーについて知識が豊富で、今回のコラボレーションを通して様々なことを学ばせていただきました。植物由来のカクタスレザーは、使い古して捨てたとしても土に還る、地球と環境にやさしい素材です。ヴィーガンレザーは現状、生産面で扱いにくい点もあるのですが、不便さも折り込み済みで、今後積極的に使っていくべき素材だと考えています」
海外ではその価値や意義が認められているヴィーガンレザーも、日本ではまだ認知度が低く価格も高くなってしまう。けれど支持する人が増えたりテクノロジーが進化していくことで、近い将来より身近な素材になっていくのではないか。そのきっかけとなる風向きを作りたい。そう語る林さんの口調はポジティブで軽やかだ。
日々の生活で毎日使いたくなる、機能的でシンプルなデザイン
コラボレーションバッグは、コンパクトな「マンハッタン」とトート型の「ブルックリン」の2型。いずれもスタイリッシュなブラックとホワイトの2色展開で、シンプルなルックスながら『BAGSINPROGRESS』らしい機能性も持ち合わせている。
「デザインに関しては、SAYAKA DAVISのコレクションに似合うバッグというイメージで、インスピレーションを膨らませていきました。私がマンハッタン、Sayakaさんがブルックリンに住んでいるので、商品名はそこから(笑)。どちらもファッションやライフスタイルに応じて持ち方をアレンジすることができ、私たち自身が毎日使いたいと思える機能性とデザイン性を形にしました。私とSayakaさん、2人の想いが詰まった商品なので、興味を持っていただけるとうれしいです」
BAGSINPROGRESS New York : https://bagsinprogress.com/